翌朝、僕とユキ姉は朝食のために一階の食堂でテーブルに着き師匠を待っていた。
「おはよう、メル、ユキ」
テーブルの側に歩いて来ながら挨拶をする師匠。
「おはようございます、イクスさん」
と立ち上がりながら爽やかに挨拶するユキ姉。
「お……おはよう、師匠」
と机に突っ伏したまま答える僕。
「おや、メルどうしました?」
「私が朝起きたら、ベッドの上でぐったりしていたのですよ。一体夜に 何をしていたのでしょうね」
その言葉に、昨夜の出来事を思い出す。……まさか姉の手で女になるとは……。
「……レズネコめ……」と昨夜の出来事を思い出しながら呟く。
二人はキョトンとしたが、それよりも重要な事に気付き師匠が口を開く。
「そういえば、ユキはすっかり元に戻ったようですね」
ユキ姉は「はい?」と何のことだか分からない表情で返事をした。
「何も覚えてないのですか?」
そう聞く師匠に、少し考え込みながら
「騎士団でネコミミを受け取った辺りまでは覚えてるのですが、その後の記憶は、あまり良く思い出せないのですよね」
握った左手を唇に当て少し困った表情をしながら答えた。
「そうですか……」
「何かご迷惑をおかけしましたか?」
「いえ、特に何もありませんでしたよ」
覚えてないなら、教えない方が良いだろうと考えての答えだろう。
「少し疲れた感じはしますが、気分はすっきりしていますわ」
と笑顔で答えるユキ姉。
「そうですか、では今日は予定通り古城に調査へ向かいましょう」
「はい」と元気に答えるユキ姉。
僕は、ユキ姉とは相反して力なく「は~~い」と返事をした。
「本当に、メルはどうしたのですか?」
「どうしたのでしょうね」
と意味ありげな笑みを浮かべながら言うユキ姉。
……絶対夜のこと覚えてる……。
「たとえば~」と意地悪げな笑みを浮かべながら話しを続けようとする。
その次の言葉を遮るように、ガタッっと椅子を倒しながら立ち上がり
「な、何でもないよ!さ、朝ご飯食べて調査に行こう!」
と焦りながら言う僕。
「よ、よく分からないが、元気が出たようだな。それじゃ、昨日できなかった打合せをしながら朝食にしましょう」
[小 説/RO小説/moe6]