篝火が燃えている。
周りに集う影が見える。
手には杯。
発せられる声は歓喜に満ちる。
杯の中には勝利の美酒か。
響く勝鬨の傍らに剣は鞘と共に眠る。
身を作る鋼は、火の恩恵を受けることなく冷たく、光の恩恵を受けて鈍く輝く。
ただ、静かに栄光を帯びていた。
そして、主人たちの歓喜に恐縮するようにそっと影を落としていた。
心に光と影を抱きつつも鉄の沈黙を守って控える忠臣たち。
彼らはひどく美しく、強く、同時に――
寒そうに、寂しそうに、怯えるように、怒りを堪えるように、想いを抑えるように。
何かを耐え忍ぶ……どこか切なく、儚いものに見えた。
剣たちが見上げる夜空は深く澄んで星々をたたえる。
地に吹く風は冷たく、身を切るが如く。
ルーンミッドガッツ王国魔法都市ゲフェンは、十二月を迎えようとしていた。
[小 説/RO小説/moe5]