その二日後、僕たちは目的地の近くの街で宿を取った。
「ふぅ~久しぶりのベッドだ~」
ベッドの脇に荷物を置いた後、そう言いながらベッドに倒れ込む。
「もうメルったら、私のベッドでもあるのだから、全部取らないでにゃ」
そう言われて、はたっと気付く。
「あれ、なんでベッドが一つなの?」
確か師匠にユキ姉と同じ部屋で良いかと聞かれ良いと言ったが、なぜベッドまで一つなのだろう。
「あら、たまには一緒に寝ても良いにゃ」
「別に構わないと言えば構わないけどさ……」
そう言いながら、何か凄く嫌な予感がしてならなかった。
その時、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。
「はいにゃ」と返事をしてユキ姉が扉を開ける。
扉の外には師匠が立っていた。
「調査には明日から向かいますので、その打合せを今日の夕食時に行いたいと思います。夕食までは自由時間としますが、夕食までには戻ってきて下さい」
「わかりましたにゃ」と短く答えるユキ姉。
自由時間と聞いた僕は
「ねぇーねぇー師匠ー、久しぶりに稽古着けてよ」
「そうですね、メルが何処まで腕を上げたか見てみたいですから良いですよ」
「ユキ姉はどうする?」
そうユキ姉に尋ねると、ユキ姉は首を傾げてネコミミをピクピクさせながら悩む仕草を見せ……ってネコミミがピクピクって!?
「ゆ、ユキ姉ー!」
「どうしたにゃ?大きな声を出したらびっくりするにゃ」
「なんで、ネコミミがピクピク動くのさ!」
「にゃ?私の耳だから動いてもおかしくないにゃ。変なこという子にゃ」
「私の耳って、それ着け耳でしょ!?」
「何を言ってるのにゃ。二人が稽古するのなら、私はお買い物に行ってくるにゃ。それでは、また夕食ににゃ」
そう言って、ユキ姉は部屋から出て行った……。
ネコミミを着けてからしゃべり方とか仕草がおかしいと思っていたけど、あれはどうみても演技ではなさそうである。
「し、師匠~」
ちょっと泣きそうな顔で師匠を見る。
「……たまには呪われたネコミミもあるさ。さ、宿の裏の広場を借りて稽古をつけてやろう」
と、引きつった声で言いながら、広場を借りるために宿屋の主人の所に向かう師匠だった。
[小 説/RO小説/moe6]